3割バッターは3回に1回ヒットを打つか?

(Date: 2017.11.22) (Update:2018.12.6)

期待値の話ですが, よく

「1/100 の確率だから, 100 回に 1 回は当たる」

という意見を耳にします. そこの貴方, 携帯ゲームでガチャを回して 「これだけ回してるのに当たらないなんて, 運営はきっと確率を操作しているに違いない!」 とか言っていませんか?
...という話題は正直二番煎じも良いところなのですが (例えばドルアーガの塔の作者である遠藤雅伸氏のインタビューなど), 未だに疑惑が叫ばれる昨今, まだしても良いのかなと思うところではあります.

さて確率 $1/N$ のくじですが, これを $N$ 回連続で外す確率とは ${\displaystyle \left(1 - \frac{1}{N} \right)^N}$ になります. で, 何となくですが $N \to \infty$ としてみると, \[ \left( 1 - \frac{1}{N} \right)^N = \left( \frac{N-1}{N} \right)^N = \left\{ \left( \frac{N}{N-1} \right)^N \right\}^{-1} = \left\{ \left( 1 + \frac{1}{N-1} \right)^N \right\}^{-1} \xrightarrow{N \to \infty} \frac{1}{e} \approx \frac{1}{2.7} \] となります. というわけで, $N$ が大きければ大きいほど ($=$ 確率が小さければ小さいほど) ``期待値 1''を実際に得られない確率がだいたい 37% に近くなる, という結論になります.
つまり, 仮に 「1/100 の確率だから, 100 回に 1 回は当たる」 のが本当ならば, 「だいたい 3 人に 1 人が 1/100 の当たりくじを 100 回連続で外す」 ことになってしまいます. 注意しましょう.

ところで, 「$1/N$ の確率だから, $N$ 回に 1 回は当たる」 のが一番もっともらしいのは $N$ がいくつのときか?
実は ${\displaystyle b_n = \left( 1 - \frac{1}{n} \right)^n}$ は単調増加です. すなわち「確率 $1/N$ で当たるくじを $N$ 回連続で外す確率」は $N$が増えるほどに高くなります.
ゆえに, 「$1/N$ の確率だから, $N$ 回に 1 回は当たる」 のが一番もっともらしいのは $N=1$ ...いやいや, $N=2$ のときですかね.
「$1/2$ の確率だから, 2 回に 1 回は当たる」 で, 1/2 を 2 回連続外すのは $(1/2)^2 = 25$%.
これが「$1/N$の確率の当たりくじを$N$回連続で外す」確率の最小値になります.

やっぱり 4 人に 1 人はダメらしい.

Question

「1/100 の確率だから, 10000 回試せば 100 回は当たる」

なら, 期待値 1 よりはもっと妥当な気がします.
「$1/N$ の確率だから, $M$ 回($M>N$)試せば $M/N$ 回は当たる」 確率は $M \to \infty$ で 1 に近づくんでしょうか?

めんどくさいので誰か教えて下さい. (あ, 大数の法則か?)


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